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唐詩詩選(二).五言律詩<その124>
【題名と作者】
【秦州雜詩.二十首其一】;「秦州(しんしゅう)雜詩(ざっし)
.二十首(にじゅうしゅ)其(そ)の一(いち)」
杜甫作 ; 「杜甫(とほ)作(さく)
【詩文と読み】
滿目悲生事;滿目(まんもく)生事(しょうじ)を悲(かな)しみ
因人作遠遊;人(ひと)に因(よ)って遠遊(えんゆう)を作(な)す
遲回度隴怯;遲回(ちかい)隴(ろう)を度(わた)ること怯(おびえ)たり
浩蕩及關愁;浩蕩(こうとう)關(かん)に及(およ)んで愁(うれ)う
水落魚龍夜;水(みず)は落(お)つ魚龍(ぎょりゅう)の夜(よ)
山空鳥鼠秋;山(やま)は空(むな)し鳥鼠(ちょうそ)の秋(あき)
西征問烽火;西征(せいいく)烽火(ほうか)を問(と)えば
心折此淹留;心(こころ)折(お)れて此(ここ)に淹留(えんりゅう)す
【大意】
目に触れるものみな悲しいことばかりなので、
縁者を頼って遠く旅することにした。
歩みは遅々としてはかどらず、
隴の坂道をおびえながら渡り、
気もそぞろなまま、
関に差し掛かっては憂いにとらわれる。
夜の魚龍川には水が流れていたのが見え、
鳥鼠山(ちょうそざん)の秋はさびしげに見えた。
これから先、西の方にも戦いののろしが上っていると聞くと、
心がくじけてしばらくここに滞在することにしようと思うのだ。
【注釈】
冒頭の句が、この旅を決意するに至った杜甫の心と、
これから始まる杜甫の放浪の後半生を暗示しているかのようです。
詩句のひとつひとつが、この旅の険しさを表していて、
子供を伴って険しい道を歩くことの辛さ、
前途のはるかなることを嘆いて茫然と立ちすくむさまが詠われ。
そしてやっとの思いで秦州にたどり着くと、
そこは平和な楽園ではなく、周囲には戦いののろしが立ち昇って見え、
どこへ逃れても、
身の安楽を得る事のできない空しさを知ったようです。
「唐詩詩選集(二)五言律詩編」書庫の記事一覧
2013/4/23(火) 午前 9:05
唐詩詩選(二).五言律詩<その125>秦州雜詩.二十首其二】杜甫作
2013/3/30(土) 午前 8:18
唐詩詩選(二).五言律詩<その123>【過宋員外之問舊莊】杜甫作
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